ある・・・出来事が・・・

 2012-10-03
午後1時になるだろうか・・・

車から降りて・・・右手でドアを閉めながら
道路の向こう側を歩く人の姿を何気なく目で追っていた。

突然・・・目に映る映像がスローモーションになった・・・

あぁぁーーー 道路の向こう側を歩く人が・・・倒れる

あぁぁーーーーーー 体が回転した・・ 

アスファルトの上に仰向けになって 動かない

車のドアを閉める瞬間のはずが コマ送りのように・・・

時間が経過していくようだった

私は道路に仰向けになっている人の所へと駆けていた

「大丈夫ですか・・・どこか痛い所はありますか」
「気持ち悪くないですか・・・」

返事がない・・・硬く目をつむっている

道路の向うの家の入り口で立ち話をしている人に叫んだ

「救急車を呼んでくださーい」

えっ えっ どうしたの・・・・何が起きたのか解らず
慌てる様子が見えた

しゃがみこんで・・・耳元に声を掛け続けた
「きゅうきゅうしゃは呼ばないで」振り絞るような声が聞こえた
左頬が赤く腫れ上りはじめた・・・

私は おばあちゃんの 右手を そっと握り・・・話しかけた
「お名前を教えてください」・・・かぼそい声で名前を言った。

道の向こうから駆け寄る人に・・・お願いする

「走ってくる車を誘導してください」
「倒れた人に向ってこないようにしてください」

道路の向こうで救急車を呼んでくれているようだ・・・

「おばぁちゃん 直ぐに救急車が来るよ」
「大丈夫だからね」・・・両手を胸元に寄せて擦った・・・
 
 おばぁちゃんは・・・ 左手の甲が痛いと訴えた
 
「ごめんね 手を痛くしたんだね・・・」

痛めていない左手でポッケの何かを探そうとする・・・「テッシュを」
ポッケを探してハンカチを手渡す

口の端に血が滲み出した・・・口の中を切ったようだ・・・

おばぁちゃんはハンカチで口を拭うように手を口に持って行こうとするが
上手く出来ないようだった

チラッと見える口もとに折れた歯が見えた

痛いのだろうなぁ・・・ 

おばぁちゃんは自分の手を差し出した・・・
手を握って欲しいのだろうと私は感じた

体が思うようでなく痛くて辛いんだろうなぁ・・・・・・・
心細いよね

市内から救急車が坂を上って来るサイレンの音が聞こえた

来た!! 良かった・・・・

救急隊員の人に状況を説明し・・・おばぁちゃんを託して家に入る

意識はハッキリしていたから頭は打っていなかったと思う
大丈夫だろう・・・そう自分に言い聞かせた

イスに腰を下ろし・・・ぼーーーっと していた

しばらくして 

胸の奥から押し込めていた塊が込み上げ 

ボロボロ涙が流れ ボタボタ落ちた・・・ズボンの太もものところに
大きな染みが広がった・・・

私の頭の中には 車の下敷きになった 大助の姿が・・・

誰にも手を握ってもらえず オイルで汚れた顔を擦ってくれる人もなく

車を持ち上げて・・・体を助け出してもらうまで

暗い車体の下で どんなに 辛かっただろう 

私は・・・・・・・・・・・ 大助の手を握って   あげられなかった



断末の姿を・・・ 私は 自分の中から 消し去った ・・・はずなのに

スパァーーン 脳裏から  また  飛び出して しまった・・・

ぽろぽろ・・・・ぽろぽろ・・・・頬に 流れる 涙が 止まらない

夕暮れ秋桜









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