3月を・・・ 思う・・・

 2011-03-29
その日・・・私は桐生市役所の隣に建つ市民文化会館の4階にいた。
東京海上日動火災の代理店研修会が午後2時からあったので
午後1時40分頃・・・家を出た。

ガラス張りのエレベーターで
4階ホールにある第二会議室へ行くのは
私は嫌だ・・・いつも目をつむる。
ナゼかと言うと・・・私は・・高所苦手症なのだ
高く上がる行程が丸見えの素通しのエレベーターは・・・
足がすくむ

研修は支店長の挨拶から始まり予定項目中盤となった
3時15分前・・・ 一息・・・入れたくなる頃 

宇宙船のような楕円のガラス張りの4階フロアが・・・
・・・・大きく横揺れした。
天井はミシミシ音を立て・・・白い粉が落ちてくる
4階だからなのか・・・
今まで経験したことのない大きな横揺れは・・・
・・・なかなか止まらない 

誰かが叫んだ
「みなさん!!テーブルの下に入ってください!!」
「揺れが収まるまで!!」
私はテーブルの下に入り込んだ・・・・
無意識に・・・壁の丸い時計の秒針を見詰めていた。
そして4分経過した。
テーブルの下から出て隣の市役所を窓越しに見た。
職員が右往左往している。

「ただ今・・・地震のためエレベーターが停止しました。
階段を使用して建物から出てください」とアナウンスが流れた。
私は・・・しばらく・・・そこに立ち尽くし・・・
窓ガラスを隔てた家々の向こうに見える山と空が
変わりなく有ることに・・・
ホッとした。
 
・・・我に返り・・・非常階段を下りた。

店のバイクリフトに乗ったFTRは大丈夫だろうか
(お客様のバイクがリフトから落ちているのでは)と
気掛かりだった。

バイクは・・・どうなっているだろう・・・
2階は・・・

帰る道々・・・走る車にビミョウな揺れを何度も感じた。

駐車スペースには、お隣の屋根瓦が落ち
そして土が散らばっていた。

ガラスのドア越しに店の中を覗く
FTRはバイクリフトにちゃんと乗っていた・・・大丈夫だ。
あっ でも・・・通路にあるCBに溶接用ガスボンベが倒れ込んでいる。
ちょうどタンクのあたり・・・

2階の様子は・・・・階段に散乱している観葉植物・・・
居住スペースの2階は
足の踏み場もないほどに・・・あらゆるモノが床に散乱していた。
プリンターが部屋の真ん中に飛んでいる。
なんてことだ裏返っている。
TVも・・・
まさか・・・タンスの上に置かれた文箱は2メートル以上も飛び
コタツの先に落ちている。

階段を上がり踊り場から先に足を踏み入ることが出来なかった。

食器棚のほうからポン酢の匂いがする・・・きっとビンが割れたんだ・・・
どうすることも出来ない
(姉の家からもらったユズを2度目に仕込んだビンが割れたようだ)

また・・・強い揺れ・・・私は家の外に出た。

車の運転席に座りカーラジオを聞く
東北地方が震源M8以上だったと言う(後にM9.0と修正) 
桐生はM6弱と・・・後に知る。

中越地震の時の揺れに驚いた時を上回る揺れは
南から北に縦方向に大きく何度も揺れたことを
棚のズレ方向やモノの散乱状況から分かった。
(3日後に片付けを始めて分かった)

我が家の居住空間は・・・
大きく揺さぶられ屋内のモノがナダレを起こしてしまったのだ。

仕事先から駆けつけてくれた圭三郎は
足の踏み場のない居住空間を見て立ち尽くすも
重なり散乱するものを避けながらガスの元栓を止めてくれた。
「大丈夫なん?」・・と私を気遣ってくれた。

この非常時に駆けつけ
心配してくれる・・・誰かがいてくれる・・
嬉しかった。

お仏壇は・・・・ぐしゃぐしゃ  マグカップは何処に行ったんだろう
コーヒーまみれの写真タテを手に取ったのは
夕暮れになって・・・
私はクツを履いたまま・・・ 

散乱したモノは大切な思い出の詰まったアルバム
日常生活のモノたち
壊れたものは・・・ヤフーのモデム ぶどうジュースを作ったカメ
コップ お皿 私の木のおわん 
1メートル以上飛んでしまったプリンターは電源を入れてみると
インクカートリッジが動く初動音が
いつもより・・・大きな音をたてた。
可動可能を確認したのは5日後だった。

繰り返す余震を知らせるケータイの警報音が鳴るたびに
これから来るかもしれない大きな揺れに身構えた。

11日の夕暮れ
床に転落したTVを元の位置に戻し
ケーブル類をつなげ電源を入れた・・・映像がスクリーンに現れない
壊れてしまったのか・・・
数分してスイッチは入った。

どのチャンネルも 
漁港や 町が 家々が・・・車が・・人々が・・・・
津波に押し流される映像を延々と・・・・映し続けた・・・

家族を失い・・・ 友を失い・・・ 
大切な思い出の詰まった家が押しつぶされ・・・流された・・・

人々の  心を  思う ・・・ 3月

沈丁花
(3月14日撮影)

被災地を離れた地でガソリン給油のために長蛇の列が出来
食料や日用品を買い求める人々は殺気立った
計画停電が行なわれ・・・・信号は止まり
灯火消えた家々は 闇に 包まれた。

車が動かなければ 歩こう・・・

ブロック塀のわきを通った時・・・ 花の香りがした
見上げれば 教会の十字架 

「神様 どうして・・・?」と・・・ 問う

11日と 同じ 青空が 十字架の向こうに・・・あった・・・・ 

悼む春
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