母が私の枕元に座っていた。
「ずいぶん咳をしていたけど・・風邪をひいたのかい・・・」
と言いながら
寝ている私に母は浴衣を掛けてくれた。
母は着物を日常着としていた人で
夏になると浴衣に衣替えをしていたことを
懐かしく思い出した。
掛けられた浴衣は薄いもののはずなのだが・・・
母の優しさに包まれ安らかな気持ちになった。
母の夢を見たのは数年ぶりのこと
数年前に見た母の夢は
この世の住人ではない母が私を迎えに来たのだった。
夢の中の母は若々しく髪を長く垂らし着物姿だった。
長い裾を引き・・・帯の結びの片方が長く
その帯を私に持つように言った。
そうすれば
あの世に一緒に行けるらしかったのだが
私は母に「大助が迎えに来なければ嫌だ」と拒絶した。
「だいちゃんは、こちらでは偉い人になっているので迎え人としては来られないんだよ」と
母は言うのだった。
ここのところ・・・体調は悪いわけでなく
アチラの方々に心配いただくこともないのだけど・・・・と思った・・・
いや・・・まてよ・・・心配してくれているのではなくて
母は私を浴衣で覆い隠しアチラへ連れて行ってくれようとしたのだろうか
もう私はワガママを言わないことにした・・・
母が迎えに来てくれたのなら有り難いことだもの
「あらっ ヨッ」ってな感じで アチラに旅立てるのは幸せなことだと思う。
この世に残る人に迷惑を掛けずに旅立てたら幸せではないか・・・と
近頃・・・ 思う・・・

母の夢を見た日 金沢から絵手紙が届いた。